2.レジュメの基礎 ②箇条書きの基本

 箇条書きはマークを付けて構盲目を区分していく書き方ですが、より分かりやすく内容を説明するためには、もう少し工夫がいります。重要となるのは、内容を短く着ることと、箇条書きを段階化することです。順番に見ていくことにしましょう。

目次

レジュメと箇条書き

 箇条書きは、項目ごとに区切れているために、文章よりも視覚によって内容を読み取りやすいことにメリットがあります。このメリットを活かすためには、箇条書きのポイントをおさえる必要があります。たとえ内容が素晴らしくても、箇条書きの本質を理解した上で利用していなければ、参加者に内容が十分に伝わらず台無しになってしまいます。
 たとえば、レジュメの特徴を箇条書きにまとめた以下を見てください。

 これはあまりわかりやすい箇条書きではありません。この例の手直しを通じて、どうすれば分かりやすい箇条書きをつくれるのかのポイントを確認していきましょう。

句点を削除する

 <2-2-1>があまり見やすくないのは、1つの箇条書きのなかに2つ以上の文章が入っているものもあるからです。「事項ごとに分けて書く」ならば、2つ以上の文章はひとつずつ別々に分ける方が良いのです。1つの箇条書きに1つの文章にするための、簡単な方法があります。それは、箇条書きのなかでは「句点(「。」)を使わない」ようにすることです。このルールを定めておけば、自動的に1つの項目のなかに1つの文章となります。<2-2-1>に挙げた「おわりに」の項目を直してみると<2-2-2>のようになります。

句点を挿入して文章を短く切る

 ところが、句点を削除して整えたにもかかわらず、<2-2-2>をみると、「かえって読みにくくなっているのではないか」と疑問に思うのではないでしょうか。実は、そう思ったならば正しいのです。確かに句点はありませんが、読点(「、」)でつないで文章が長くなっただけです。これでは、読みにくくなるだけです。なので短く切る必要があります。
 文章を短く切るには、簡単な方法があります。これまでの説明とは逆になりますが、できるかぎり句点を付けようと意識することです。句点を打つと、自動的にそこで文章が切れて、次の文章へと移ります。となれば、箇条書きを短くしようとすれば、できるかぎり句点を増やせばいいということになります。
 ただし、先に述べたとおり、箇条書きは1つの文章で終えるようにします。したがって、箇条書きで内容をまとめていく際には、「句点をなるべく挿入するように意識しつつ、実際には句点を一切使わずに、改行して文章を切る」とよいわけです(<2-2-3>)。

文章と箇条書きはどこが違うのか

 ただし<2-2-3>は、これでもまだ見やすくありません。<2-2-3>に挙がっている「おわりに」だけではなく、その前の「本論」の説明とその後ろの「参考文献」の説明を、同じような形式にして箇条書きにした<2-2-4>を見ると、そのことがよく分かります。

 これでは、だらだらと項目が並べてあるだけです。これならば、<2-2-5>のように、文章にした方がかえって分かりやすいほどです。

 この<2-2-5>は「本論」・「おわりに」・「参考文献」のそれぞれについて段落を変えています。段落を変えることで、「本論」・「おわりに」・「参考文献」のそれぞれの説明に切り替わっていると、目で見て分かります。
 ただし段落変えは、これまで説明してきた箇条書きの性格にそぐわないので、箇条書きには用いられません。となると、段落変えとは別の方法で、箇条書きを見やすくする必要があります。その方法が、次に見る箇条書きの段階化です。

段階化した箇条書き

 さて、まずは見やすく整えた箇条書きとして<2-2-6>を見てください。

<2-2-6>

 これは、これまでのものよりも見やすくなっています。これには理由があります。
 たとえば、ある箇条書きでの事項にて、何らかの情報をまとめたとします。これが基本的な情報となる事項です。この例でいうと「・」で書かれている事項です。この基本事項を受けて、内容をさらに展開させた事項を書く場合もあります。この例でいうと「…」に書かれている事項です。それほど重要ではないものの補足しておいた方がよい情報を付け足す場合もあります。この例でいえば「( )」で囲っている事項です。それまでのちょっとしたまとめを書く場合もあるでしょう。この例では「→」を用いています。
 ここで大事なことは、基本事項を記した箇条書きに対して、展開をさせた事項や補足の事項は、「より右側に下げた」形で書かれているということです。文章で書くならば、文章と文章の間に接続詞を置いたり、補足の語句を補うことで文章同士をつなげます。ただし、そのつなぎ方がまずい場合には、文章同士の意味がつながらずに、よく分からない内容になってしまいます。もちろん箇条書きの際にも、接続詞や補足の語句を挟む場合もあります。ですが、箇条書きの場合は、上の例のように、目を通して内容を読み取る前に、そうした情報を見ただけであらかじめ判断できます。
 そのうえで、基本となる箇条書きと右側に文字を下げた箇条書きは、併せて1つの情報と認識されます。段階化が何段にも及ぶ場合もありますが、その際でも同じです。それらが相互に補い合っていれば、自然と読みやすくなります。したがって、この段階化をいかに行うのかによって理解しやすさが変わってきます。そうした箇条書き同士がなめらかにつながっていれば、分かりやすいレジュメとなるわけです。これを、箇条書きの段階化と言います。そうして整え直したのが<2-2-6>というわけです。
 このように、段階化こそが、わかりやすい箇条書きを作成するための重要なテクニックとなります。

マークの差別化と統一化

 さて、段階化がなされた箇条書きについて、別の例を見てください(<2-2-7>)。

 先の<2-2-6>と見比べると、こちらの方が明らかに分かりにくくなっています。両者の違いは、箇条書きの冒頭に付いているマークです。<2-2-6>は段階化された箇条書きごとに、異なったマークが使われています。第1段階の箇条書きは「・」、第2段階の箇条書きは「…」、第3段階の箇条書きは「→」です。これに対して、<2-2-7>はすべて「・」が使われています。つまり、箇条書きを行う際には、段階ごとに意図的にマークを変えていく必要があります。
 だからといって、マークを変えれば何でもよいのかというと、そうではありません。<2-2-8>を見れば分かります。

<2-2-8>

 これも決してわかりやすくありません。なぜ分かりにくいかというと、箇条書きのマークがバラバラで整っていないからです。これでは、レジュメを見ている人に、「・」と「○」の事項には何か違いがあるのか、と考えさせてしまいます。こうなると理解しにくくなるのです。つまり、段階化した箇条書きの作成にあたって、「各段階の箇条書きのマークはレジュメ全体で統一する」ことが不可欠です。見ている人を混乱させないためにも、箇条書きのマークは、レジュメ内にて統一しなければならないのです。

まとめ

 わかりやすく示す箇条書きの書き方をまとめると、以下のようになります。

  • 箇条書きでは、できるかぎり句点を挿入して、文章を短く切るように意識する
  • ただし、その上で句点は一切挿入しない
  • 箇条書きでは、見た目でも内容の理解を促すように段階化を行う
  • 箇条書きのマークは各段階で統一する

 さて、続いて次のページでは、項目名の基本について説明します。

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