まずは、プレゼンとレジュメとはそもそもどのようなものであり、何のために行うのかという基本をおさえておきます。
目次
プレゼンの目的
まず、プレゼンを端的に定義づければ、「何らかのテーマについてまとめたものを、他の参加者に対して定められた時間で発表して理解を求める」と言えます。この短い定義を補う形で、もう少し詳しく説明していきます。
そもそも、なぜ他人のプレゼンを聞こうとするのでしょうか。もし、自分が知っていることを聞かされるのであれば、他人のプレゼンを聞く意味がないはずです。自分が知らないことを知れるからこそ、プレゼンを聞こうとします。とはいえ、知らないことであっても、聞く価値を見いだせなければ、わざわざ聞く気は起きないでしょう。それでは、聞く価値があるプレゼンとはどのようなものかといえば、取り上げたテーマに関して1つでもよいので何かより優れた見方が示されているプレゼンです。
これはどんなプレゼンにも当てはまります。何か事実を挙げるだけならば、誰でも同じような内容になるのだから、より優れた見方など示せないと考えるかもしれません。ところが、そうではありません。プレゼンは時間が決まっているので、すべてを説明するわけにはいきません。同じ事実を取り上げるにしても、どの情報を重んじて取り上げるのかを選り分けねばなりません。その選択は人によって異なります。
たとえば「書籍とは何か」についてのプレゼンを、複数の人が行うとします。書籍は、紙の束をまとめ表紙を付けたものと定義づけられます。ですが、定められた時間内で書籍の特徴をさらに述べるにあたって、人によって重んじる事実は異なるでしょう。ある人は、文庫版や新書版といった形態から説明するかもしれません。ある人は、フィクションやノンフィクションといった内容から説明するかもしれません。はたまたある人は、新聞やパンフレットとの違いから書籍の特徴を浮き彫りにしようとするかもしれません。このように、書籍についてのプレゼンを行うにしても、どの事実を重んじて選ぶのかによって内容は異なってきます。
そのうえで、選択した事実の組みあわせが、対象となる事物に対してさらに洗練された理解を促せるとすれば、より優れた見方を示せたことになるのです。
プレゼンと資料
さて、プレゼンの形式は大きく2つに分かれます。最近ではオンラインでのプレゼンもよく行われていますが、そちらでも基本的には同じです。ひとつは、発表者の話や説明だけの場合です。この際には、発表者が話し終えればそこで終了です。これはスピーチや講演などがあてはまります。もうひとつは、議論を行う場合です。この際には、発表者がプレゼンを終えた後に、質問を参加者から募って、それに対して発表者が答えつつ議論を進めていきます。ゼミ発表や学会発表、部内での会議などが、例としてあげられます。
これに応じて、提示する資料も変わります。スピーチだけであれば、会場のスクリーンにプレゼン用のスライドを示すにとどまって、参加者の手元に資料がない場合がよくあります。とはいえこれだけでは、後で内容の吟味が行えません。したがって、プレゼンの後に内容をまとめた資料を配付するのが一般的です。これに対して、質疑応答を行う場合には、プレゼンが始まる前に内容を記した資料を配るのが通例です。いずれの場合でも、配付する資料が「レジュメ」と呼ばれています。
まとめ
プレゼンにおけるレジュメについてまとめると、以下のように言えます。
- プレゼンとは、何か1つでもそれまでよりも優れた解釈を示すために行う
- プレゼンでは、内容を記したレジュメを配布する
これを踏まえて、次のページではレジュメの基本について確認することにします。