2.レジュメの基礎 ③項目名の基本

 項目名とは、ある程度の項目をひとつにまとめた際に、それらの箇条書きがどのような内容なのかを示す見出しです。箇条書きと同じく、項目名も押さえておくいた方が良いルールがあります。何よりも大事なことは、レジュメ全体で書式を統一することです。
 詳しく見ていくことにしましょう。

目次

項目名の統一化(1)-項目の基本

 箇条書きと同じように項目名も書式を統一すべきです。レジュメは「基本情報」、「はじめに」、「本論」、「おわりに」、「参考文献」、「資料」の各パートで構成され、さらに「本論」は内容ごとにセクションに分かれています。書式の統一を理解するにあたっては、特に「本論」におけるセクションの分類について踏まえておく必要があります。
 セクションは、大項目・中項目・小項目に分かれます。それぞれの項目は、書籍で言えば章・節・項にあたります。全体はいくつかの大項目に分かれます。それぞれの大項目なかはいくつかの中項目に、それぞれの中項目なかはいくつかの小項目に分かれます。大項目が上位ランクの区分とすれば、中・小項目は下位ランクの区分となります。それぞれの内容を示した見出しを付けるのですが、本書では大・中・小のそれぞれの見出しを大項目名・中項目名・小項目名と呼ぶことにします。それぞれのマークの種類は、それぞれ異なったものを使います。
 たとえば、「現代の書籍について」というレジュメを作成したとします。「現代の書籍の分類」は、「紙媒体」と「電子書籍」に分けて説明します。「現代の書籍の状況」では、「売り上げの推移」や「読書時間の変化」について説明します。「書籍の未来」では、現在の「書籍が直面している問題」や「今後の予測」について説明します。
 このように仮定したとして、大きな分類となるのは、「現代の書籍の分類」、「現代の書籍の状況」「書籍の未来」となるでしょう。そのうえで、たとえば「現代の書籍の分類」のなかでは「紙媒体」、「電子書籍」と内容ごとにさらに細かく分けると、内容ごとに見た目で区分できるので理解しやすくなります。同じように、「現代の書籍の状況」と「書籍の未来」も内容ごとに分けられます。さらに、たとえば「紙媒体」は定期刊行物である「雑誌」とそれ以外の「書籍」に分けられます。これを踏まえて、大・中・小の各項目に分けてみると、<2-3-1>のようになります。

<2-3-1>

項目名の統一化(2)-書式の統一

 見出しには、箇条書きのようにマークを付けますが、<2-3-1>では大項目名には算用数字を順番に付け、中項目名にはアルファベットを順番に付け、小項目名では「◎」を使っています。どのようなマークを使うのかは、<2-3-2>に例を挙げたように、個人的な好みで何を使っても構いません。

 ただし、守るべきルールが2つあります。そのルールを守っていないのが、<2-3-3>です。

 第1の守るべきルールは、「項目名のマークとして「・」は使わない」です。「・」は箇条書きのマークとして使っています。もし項目名のマークに「・」を使うと、箇条書きのマークとして使っている「・」と紛らわしくなってしまい、レジュメを見る人を混乱させてしまいます。なので、項目名のマークには「・」を使ってはいけません。
 第2の守るべきルールは、「同じレジュメにおいては、項目名の書式をすべて統一する」です。たとえば<2-16>のように「第1章…」という大項目を使いながら、次は「二.…」という大項目名を使ってはいけない、ということです。そうなると、「第1章…」と「二.…」の大項目名は異なっているけれど、「何か意味があってこうしているのだろうか?」と戸惑わせてしまいます。それどころか、この2つの大項目名は種類が異なっているので、「「第2章…」や「第3章…」はどこにあるのか?」、「「三.…」「四.…」はあるのか?」とレジュメを見ている人が無駄に探してしまいかねません。そのような余計な手間をかけさせないように、項目名の書式はすべて統一せねばなりません。

項目に関する補足

 レジュメの場合、「はじめに」「おわりに」「参考文献」「資料」の各パートは大項目と同じ上位ランクにあると見なすとよいでしょう(基本情報はレジュそのもののラベルのようなものなので、他とは異なる位置づけにあります)。したがって、これら4つのパートで内容ごとに項目を分ける際には、中項目や小項目を用います。本論の大項目と同じ書式設定を行いますこの4つのパートでも、内容に応じて下位ランクの中・小項目に分類する場合もあるからです。「はじめに」や「おわりに」も内容に応じて項目ごとに分ける場合があることはわかりやすいかと思います。それだけではなく、「参考文献」も「資料」も、分けることがあります。たとえば、「参考文献」であれば欧文と邦文に分けることはありますし、「資料」であれば、引用文と表・図に分けることがあります。その際に、それぞれを項目で分けることになります。

項目の省略

 なお、ここまで挙げてきた項目は必ずしもすべてのレジュメに用いる必要はありません。たとえば「資料」は、本文に必要な箇所が十分に挙げられるのであれば、カットしても構いません。
 また、大・中・小のすべての項目を使う必要はありません。たとえば、1つの大項目のなかの項目が5つ以下ほどであれば、中項目を置かずに小項目のみを置くことは珍しくありません。なお、中項目を省略するのであれば、同じレジュメの中では中項目を一切使わないようにします。中項目のある大項目とない大項目があると、レジュメを見る人を混乱させてしまうからです。
 なお、「はじめに」と「おわりに」では、そもそも中項目を使わない方が良いでしょう。「はじめに」と「おわりに」はコンパクトにまとめる箇所です。にもかかわらず中項目を使うと、長くなりすぎてしまいます。そのため、「はじめに」と「おわりに」では中項目を使わないようにしましょう。

まとめ

 ここまでのことをまとめると以下のようになります。

  • 項目名は大項目・中項目・小項目に分かれる(ただし、すべての項目を使う必要はなく、例えば中項目を省略してもよい)
  • 項目名の書式はレジュメ全体で統一する
  • 項目名にマークを用いる場合、全体で統一されていれば何を使ってもよいが、箇条書きのマークと混同しないために、「・」は使わない

 さて、ここまで、レジュメの基礎となる項目名と箇条書きの基本について説明してきました。続いては、そうした項目名と箇条書きをパソコンでどのように作成していくのかについて説明していきます。
 もしかすると、プレゼンの内容をどのように調べてまとめていくのかよりも、なぜパソコンでの作成法を先に説明するのかと思うかもしれません。確かに、プレゼンにとって何よりも大事なのは中身です。ですが、その中身を整えていくに当たって、規則正しいレジュメの作り方を学んでいれば、準備の段階から論理的で説得力のあるプレゼンの準備がしやすいのです。そこで、回り道かもしれませんが、内容の整え方の前に、書式の整ったレジュメの作成法を説明していきます。

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