プレゼンでは、それまでの見解がどこに記されているのかをきちんと挙げる必要があります。さらに、自分の見解の根拠も挙げねばなりません。それらの文献をリスト化したものが参考文献です。
目次
参考文献の基本
参考文献は、主に書籍と論文・記事の2つの形態に分かれます。書籍は冊子になっており、専門的なものも入門的なものもあります。論文・記事は冊子の一部に収録されているものであり、論文は原則として専門性が高く、記事は新聞や雑誌に掲載されているニュース性が高い情報と言えます。
このようにいくつかの種類に分かれるのですが、こうした文献の表記法には、一定のルールが定まっています。ルールは分野ごとに細かい違いはあるものの、同じレジュメのなかでは箇条書きや項目名と同じように、そのうちのいずれかに統一する必要があります。
もちろん、プレゼンを作成するためには、文献をどのように活用するのかが何よりも大切です。それでも、あらかじめ書式のルールを身につけておくと、文献を効率よく探せますし、レジュメを的確にまとめやすくなります。そこで、参考文献をリスト化するための表記法をまずは押さえておくとよいでしょう。
文献の書式を整える理由
ところで、ここからは文献表記の基本的な書式を紹介していきますが、かなり細かくて面倒くさく感じる人もいるでしょう。となると、なぜこのように細かいルールに則らねばならないのかと疑問に思うかもしれません。これにはきちんと理由があります。それは、参考文献は、プレゼンを聴く人のために作成するためのものだからです。
文献の書式のルールはすでに確立しています。したがって、少しでもプレゼンに慣れている人の間では、ルールが共有されています。そうした人たちから見れば、書式が調った文献リストを見るだけで、詳しい内容は分からずとも、文献に関するおおよそのデータを把握できます。もし文献を読みたくなっても、書式が整っていればすぐに探せます。
だからこそ、ルールを無視して書いてしまえば、本当にその文献あるのかを疑われてしまうでしょう。さらに文献ごとに書式が異なっていれば、レジュメを見ている人に無駄な誤解をさせてしまいかねません。つまり、レジュメの書式を整えるのと同じように、参考文献の書式も統一して整えるべきなのです。
文献表記の書式
さてそれでは、文献表記の書式について紹介していきます。まずは基本的なことです。
まず、文献の名称は、冊子になっているもの(書籍・雑誌)は二重カギカッコで囲い、冊子の一部であるもの(論文・記事)は一重カギで囲います。
そのうえで、書籍の場合は、著者、出版年(丸カッコで囲う)、書名(二重カギで囲う、翻訳の場合は訳者をその後ろに丸カッコで囲って書く)、出版社を挙げます。中公新書・中公文庫などのシリーズ名は書かなくても構いません。もし書くならば「中央公論新社(中公新書)」のように書きます<3-3-1>。
雑誌に掲載された論文や記事の場合には、著者、出版年(丸カッコで囲う)、タイトル(一重カギで囲う、翻訳の場合は訳者をその後ろに丸カッコで囲って書く)、掲載誌名(二重カギで囲う)、巻号数、掲載ページ数を書きます<3-3-2>。
なお、頁数に「p」を使う場合には、単数ページの場合には「p.」を、複数ページにわたる場合には「pp.」を使います。
いくつかの論文や記事をまとめたものが、書籍として出版される場合もあります。そのなかの論文や記事を挙げる場合には、書籍と雑誌論文の書式を組み合わせます。著者、出版年(丸カッコで囲う)、タイトル(一重カギで囲う、翻訳の場合は訳者をその後ろに丸カッコで囲って書く)、掲載書籍名(二重カギで囲う、編者がいる場合は編者名をその前に書く)、出版社名、掲載ページ数を書きます。
レジュメでの参考文献への言及
ここまで述べてきた参考文献の事項を挙げる順番は、必要事項さえすべて挙げていれば、冒頭に著者名を置く以外には絶対の決まりはありません。ただしレジュメの場合には、著者名の次に出版年を持ってくるのがベターです。
レジュメにて他人の文献を参照・引用した記述を行った際には、その箇所で用いた文献を挙げる必要があります。その際に、文献のデータをすべて挙げると長くなりすぎます。なので、著者名と出版年だけを挙げるのが一般的です。そのため、参考文献リストでも、著者名に続いて出版年を挙げる書式にしておくと、レジュメの本文中で言及している文献をリストで探す際に見つけやすくすります。
参考文献の箇条書き化
文献表記も通常の項目と同じように箇条書きの設定をしておきます。文献名は2行以上にわたる場合が珍しくないからです。通常の箇条書きと同じように、冒頭に1文字分の空白を開けて「・」を入力した上で、Tabキーを押して、箇条書きの設定を行います。
すでに複数の文献を入力している場合には、一番はじめの文献にて冒頭に1文字分の空白を開けて「・」を入力した後に、すべての文献を範囲指定して、[ホーム]リボンの[段落]グループにある箇条書きのアイコンを押してください。そうすると、すべて同じ設定の箇条書きに変更できます。
文献表記の補足
文献表記に関して、細かい補足をしておきます。同じ文献名のなかでは、改行をせずに続けて書きます。そのうで、文献名の最後には「。」か「.」を付けます。最後にこのどちらかを付けることで、ここでその文献名の表記は終わったというしるしになります。どちらを付けるにしても、レジュメ全体では統一します。読点もレジュメ全体で統一してください。
著者名の後ろには、「著」は付けないでください。ただし、「編著」「共著」「共編著」「訳」などは付けねばなりません。逆にいえば、著者名の後ろに何もついていなければ、名前の挙がっている人(たち)が書いたことを示しています。
書名・論文名には副題が付いている場合がありますが、その書式も統一してください。たとえば副題の前にスペースを置いたり、「-」や「:」などを付けるなどです。いずれを使うにしても、すべての文献で統一してください。
雑誌の巻号数は、できれば「第○○巻第○○号」という表記で統一してください。「vol.」が「第○○巻」に、「no.」が「第○○号」にそれぞれ該当します。ただし、参考文献一覧のなかで「vol.」や「no.」で表記が統一されていれば問題はありません。
なお、巻号数の数字が1種類しかない場合には、号数を示すのが一般的です。号数しか表記がなければ、普通は1年に1冊(または複数年に1冊)だけ発行される雑誌です。巻数の表記もある雑誌は、一般的に年間に複数回刊行されます。たとえば月刊誌であれば、各巻ごとに第1号から第12号まで出版されます。なお、号数しか無ければ号数が、巻数があれば巻数が、創刊してから何年目であるかを指すのが通例です(複数年に1冊発刊される場合を除く)。たとえば、「第3巻第2号」とあれば、「創刊されて3年目の時に2番目に出た雑誌」という意味になります。
参考文献リストの作成
作成した文献をリスト化する場合にも、すでにルールが定まっています。
まず、書籍も論文もすべてを一緒にします。そのうえで著者の姓の50音順に並べます。なお、もし外国語で書かれた文献がある場合には、日本語の文献とは分けます。ただし、外国人が書いたものでも日本語に翻訳されたものは、日本語の文献一覧に混ぜます。その上で外国語の文献は、著者の姓のアルファベット順に並べます。いずれにせよ、著者名に従って規則正しく50音順に並べることになります。こうすると、レジュメを見る人が文献を探しやすくなります。
並べ方についていくつか補足しておきます。文献名と文献名の間に空白行を置かないでください。詰まっていて見にくく感じるかもしれませんが、あけないのが普通です。文献リストは、真面目に調べていけばいくほど、長くなります。その際に空白行があれば分量が無駄に増えてしまいます。
同じ著者が書いた複数の文献を挙げる際には、出版年が古いものを前に持っていきます。なお、ある著者がひとりで書いた本と、その人が他の人と連名と書いた本は別々の著者であるとみなします。著者が2人以上いる場合、その文献の一番最初に挙げてある著者名が規準となります。
新聞や雑誌の記事を参考文献に挙げる場合もありますが、著者名が挙げられていないものもあります。そうした著者名が不明の文献は、著者名は省略して、文献一覧の最後に持っていきます。著者名が不明の文献は、掲載された書籍名・雑誌名・新聞名の50音順に並べ、同じものに掲載されている場合には、出版年月日の古いものを上に持っていきます。
参考文献リストの保存
参考文献リストについては、それだけを別のファイルにして保存しておいた方が後々まで重宝します。別の機会に発表する際には、その前の発表をより練り上げた発表をする場合がよくあります。過去の発表に基づいて新たなテーマを取りあげる場合もあります。どちらの場合においても、同じような文献を使うことになります。となると、同じ文献名を再び入力していくのは手間がかかってしまいます。そこで、参考文献のファイルをあらかじめ作っておき、そこからコピー&ペーストするわけです。なお、新しい文献を読んだら当然ながらリストに書誌情報を書き加えていくと、便利です。
まとめ
ここまでのことをまとめると以下のようになります。
- 参考文献リストをレジュメにつけるのは、レジュメの閲覧者が、内容の典拠を調べられるようにするため。
- 文献名の表記は、著者名を一番最初に置くのが必須であり、レジュメ作成に際しては、次に出版年をつけるのがベター(レジュメの本文中で、「著者名(出版年)」と表記するため、レジュメの閲覧者が探しやすくなるため)
- 書籍の場合、著者、出版年(丸カッコで囲う)、書名(二重カギで囲う、翻訳の場合は訳者をその後ろに丸カッコで囲って書く)、出版社を挙げる
- 論文の場合、著者、出版年(丸カッコで囲う)、タイトル(一重カギで囲う、翻訳の場合は訳者をその後ろに丸カッコで囲って書く)、掲載誌名(二重カギで囲う)、巻号数、掲載ページ数を挙げる
- 文献リストは、著者名の五十音順で並べる
ここまでのことを踏まえた上で、続いては、レジュメ用のファイル設定を整えていきます。
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